【現役東大生の業界研究シリーズ】総合商社まるっと研究!

【現役東大生の業界研究シリーズ】総合商社まるっと研究!

こんにちは、キチョnaviインターンの淳です。
これまで野球ばかり(?)してきたのですが、縁あってキチョnaviでインターン生として運営に携わることになりました。しかし、ここで大きな壁に直面しました。キチョnaviは女の子向け就活メディアなのです。女の子のニーズを捉えることは僕には簡単ではありませんでした。

なんとかキチョnaviに貢献できるような仕事ができないものか・・・と考えたところ、いいアイデアが思いつきました。そうだ、業界研究をしよう!
男女問わず知りたい情報ですし、僕のようにまだ志望業界が決まっていない学生にとっては、各業界の情報がまるっとシリーズ化されていると嬉しい!

という訳で、記念すべき第一回目の業界研究は、「総合商社」です。
総合商社と言えば就活市場において最も人気のある業界の一つです。伊藤忠商事や三井物産、住友商事のCMから想像される、人を重んじる社風や満ち溢れるバイタリティに惹かれるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。普段食べている食品も、家に置いてある生活用品も。私たちの生活にとって欠かせない重要な業務を担う総合商社の真髄に迫ります!

総合商社概観

総合商社とは

総合商社には、三菱商事三井物産住友商事伊藤忠商事丸紅(以上が5大商社と呼ばれる)、双日豊田通商の7社があります。これらの企業は、「ラーメンから航空機まで」と例えられるように取り扱い分野が多岐にわたるのが大きな特徴の1つです。複数の事業部や国内外の子会社がそれぞれの売上目標を追求することにより、連結収益を拡大させています。その点で、取り扱い分野を一つに限定した専門商社や、キャピタルゲインにより利益を獲得する投資銀行とは性質が異なります。
これに加えて、グローバルな取引と経営規模の大きさが総合商社の特徴であると言えます。

各社誕生の歴史

三菱商事

1870年岩崎弥太郎の九十九商会が起源で、以後、三菱財閥を率いる企業として中心的な役割を担ってきました。
不二商事、東京貿易、東西交易、三菱商事の4社合併により、1954年に新生「三菱商事」が誕生しました。
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三井物産

旧三井物産は1876年に誕生しました。以後、三井財閥を率いる企業として中心的な役割を担ってきました。
戦後、財閥解体に伴い第一物産と三井物産の合併により新生「三井物産」が誕生しました。
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住友商事

別子銅山の開発が住友の原点。1919年の大阪北港会社が前身で、1945年に商事部門への進出を図り、グループ各社を含む各業界大手の
製品を取り扱うようになりました。
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伊藤忠商事

1858年、伊藤忠兵衛が麻布の持ち下り商いを始めたのが起源。近江商人の経営哲学である、「売り手よし、買い手よし、世間よし」で表される三方よしの精神を事業の基盤としてきました。
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丸紅

起源は伊藤忠商事と同じくし、紅忠が分離したことで1949年に誕生しました。
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双日

岩井商店と鈴木商店を基とする日商岩井と日本綿花を基とするニチメンの合併により2004年に誕生しました。
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豊田通商

日新通商が源流とし、トーメンなどとの合併により誕生しました。
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総合商社の動向

日本の財界で果たしてきた役割は非常に大きい総合商社業界でしたが、平成に入りバブルが崩壊すると日本経済は大打撃を受けます。この際不良債権が発生しただけでなく、メーカー各社が『商社不要論』を唱え自ら国内販売、輸出入取引をするようになったことにより取引仲介手数料収入が減少し、総合商社の業績は悪化しました(商社 冬の時代)。
その後は大規模な事業再編や合併統合に加え、大きな利益が期待できる事業、特に資源エネルギー事業に対する積極的な投資を行った結果、業績の向上へとつながっていきました。
世間のビジネスのIT化は『商社不要論』を後押しており、総合商社各社は従来の口銭採取型の仲介事業から、投資事業へとビジネスをシフトチェンジさせている傾向にあります。

総合商社のビジネスモデルと役割

では総合商社はどのようなビジネスモデルを展開し、市場でどのような役割を担っているのでしょうか。

伊藤忠商事の公式ホームページでは、総合商社のビジネスアプローチを大きくトレードと事業投資の2つに分けています。

ビジネスのアプローチは大きく分けて、トレードと事業投資の二つがあります。
トレードの継続・拡大により、取引先との信頼関係が生まれて事業投資へ発展します。
また、事業投資をきっかけにビジネスニーズを発見し、新たなトレードへ発展することもあります。この二つのアプローチの相乗効果を活かしてビジネスは拡大していきます。

引用:https://www.itochu.co.jp/ja/ir/investor/businessmodel/index.html
この分類に従ってビジネスモデルを紐解いてみたいと思います。

トレード

総合商社の伝統的かつ中心的なビジネスで、モノ、サービスのグローバルな売買を行います。これに関連して長年の業務経験を生かした、物流、金融・コンサルティングなどのサービスを提供します。また、商取引を行う上でかつてはメーカー主体の仲介的な立場でしたが、自らが商流をつくる姿勢へとシフトして、収益機会を拡大しています。

・物流(ロジスティクス)
輸送業務、倉庫業務、通関業務、輸出入管理業務を行い、一貫した物流サービスを提供しています。ITを利用して効率的な物流システムの構築することにより物流コストを下げたり、輸出入の経路が限定された発展途上国への物流ルートを各社に提供することで、市場に貢献しています。

・金融(ファインナス)
仲介業者として各社の取引に介入することで、煩雑で不確実性の高い信用・与信管理や資産運用など、商取引上のリスクの一部を請負う金融としての役割を提供しています。
また、価格変動の激しい資源については先物取引を組み合わせてリスクヘッジをとりながら、国内企業に安定した価格で資源を提供しています。

・情報(コンサルティング)
長年のビジネスの知見を活かし、独自のルートを用いたリサーチやノウハウの提供を行っています。特に、企業の海外進出時には、グローバル展開の実績を活かし、各国独自の法律に即したサポートを得意としています。

事業投資

既存ビジネスとの関連性や市場の動向を勘案しながら国内外のベンチャー企業などに投資を行っています。配当や債権の売買利益だけでなく、事業買収や合併、子会社化により連結収益事業を拡大させています。

総合商社特有用語?

総合商社に特徴的な概念について紹介します!

川上、川中、川下って?

川上、川中、川下はそれぞれ原料、製品、販売を指し、総合商社はこの川上から川下まで一貫した商流を構築することができます。
鉄鋼を例にとると、鉄鉱石の生産から、鋼材の生産、販売までを行うということになりますね。

縦型、横型とは?

『縦型』とは、三菱商事に代表される、部門ごとでトップダウンの指揮のもとプロジェクトを進行させる組織体制のことを指します。反対に『横型』とは、三井物産に代表される、営業部が大きな権限を持ち現場に裁量が大きい体制を指します。
その他の組織形態として、伊藤忠商事では全社横断的な機能とカンパニー間連携強化を狙った『カンパニー制』を採用し、丸紅と住友商事では本社の下、事業ごとに組織を設ける『部門制』を採用しています。

商社は「人」?

総合商社には最大の財産は人であるとする考え方が根付いています。
伊藤忠商事のコーポレートメッセージ、「ひとりの商人、無数の使命」をどこかで目にしたり、耳にしたりしたことはありませんか?伊藤忠商事では、豊かな個性を持った社員一人ひとりの能力を発揮することが、会社の存続的な発展に繋がるというビジョンを掲げています。
詳しくはこちらをご覧ください。

また、どの総合商社も、人を第一に考えるため、社内研修、海外留学制度といった、人材育成プログラムが充実しています。
人材育成の基本方針としてOn the Job Training(OJT)と Of the Job Training(OFF-JT)とを組み合わせて教育を行っています。ここでは各社が独自に設けるOFF-JTをいくつか紹介します。

三菱商事

・Business Basic Skill Program(BBS), Business Advanced Skill Program(BAS)
財務会計・簿記・M&A・英語力・グローバルリーダーシップ 等、実務を行う上での基礎スキルの習得
入社8年目までに全職員に海外経験を積ませる、ビジネススクールへの派遣や語学研修:グローバル研修生制度

・ミドルマネジメント層を対象としたプログラム
短期ビジネススクールプログラムへの派遣、経営人材の育成

・シニアマネジメント層を対象としたプログラム:MC経営塾
三菱商事の経営を担う、さらに高度なさらに高度な経営人材を目指した研修

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三井物産

・若手社員を対象とし、原則入社7年目までに制度により海外へ派遣される:若手海外派遣プログラム

・ハーバードビジネススクールなどと連携した独自の企業内ビジネススクール:GMA(GLOBAL MANAGEMENT ACADEMY )

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このように総合商社では入社後も成長できる環境が整備されており、他の業種に比べて人材育成に対する投資額が多いと言われいます。

事業内容

ここでは取り扱う幅広い事業内容についてその内容に加え最近の動向を説明します!

生活産業

木材、セメント、紙パルプなどの生活資材から各種消費財まで扱っており、建材の分野に代表されるように、各社が各分野で系列の事業会社を持っています。
木材の分野では伊藤忠商事や丸紅、セメントの分野では住友商事、紙パルプの分野では丸紅と伊藤忠商事が幅を利かせています。
リテール事業である各種消費財ではコンビニエンスストアやスーパー、ドラッグストアなどがあります。代表的な例で挙げると、コンビニでは三菱商事がローソンを子会社化しており(2017年12月現在)、伊藤忠商事がファミリーマートへ、三井物産がセブン−イレブンへ出資しています。

エネルギー

オイルメジャーから原油を輸入して石油精製会社に供給する輸入代行が主な業務でしたが、1960年から三菱商事がLNG事業を手掛けるようになって以降は各社こぞってエネルギー分野に投資を行うようになりました。2000年代半ばから原油価格の高騰によりエネルギー部門の業績が急成長して現在に至ります。
かつてはLNG分野で躍進してきた三菱商事でしたが、’07年以降は三井海洋開発の子会社化やなどにより利益を拡大した三井物産がエネルギー分野での存在感を発揮しています。各社は川上の資源開発から、川下の各種資源の販売までを一貫して行っており、最近では丸紅、三菱商事の洋上ウインドファーム事業といった、新エネルギー事業への投資が増えています。

金属

金属資源は製造業にとって欠かせません。鉄鋼製品の他、非鉄金属の製品を取り扱っています。
鉄鋼製品では、聞いたことのある方もいらっしゃるかもしれませんが、伊藤忠商事と丸紅が伊藤忠丸紅鉄鋼、三菱商事がメタルワンを傘下として持っています。
金属分野の業績は資源価格に左右されますが、総合商社にとって大きなウエイトを占める分野であることに変わりはなく、各社が長期的安定供給に向けて活発に投資を行っています。
三井物産が鉄鉱石事業で圧倒的な存在感を見せるほか、三菱商事がオーストラリアでの原料炭、丸紅がチリの銅への巨額の投資を行っています。

化学品

有機化学品、無機化学品、農薬・医薬・染料などの精密化学品に大別され、三菱商事や三井物産は企業集団内の化学系メーカーとの取引から事業を拡大してきました。
有機化学分野では海外の合弁事業に投資し、各種化学品の製造、物流、販売を担っています。

機械

プラント、自動車、飛行機、船舶、など扱う範囲が広範囲に及びます。かつて自動車などの輸出取引がメインであったが1997年のアジア危機を境に衰退しましたが、アジア経済の回復に伴い回復の一途を辿っています。三菱商事は、東南アジアでの自動車事業、三井物産は船舶やプラント、丸紅は海外電力事業といったように各社が独自の強みを持ち、最近では長期売電契約で安定した収益が期待できるIPP(独立電力事業者)に関する事業への投資が盛んです。

繊維

繊維原料、衣料品、ブランドビジネスを扱います。繊維商社より始まった歴史から、特に伊藤忠商事が得意とする分野であり、各社は繊維だけでなく生活雑貨全般を扱う部門を新たに設けています。

食料

食品のパッケージに、「輸入者:-商事」と書いてあるのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。穀物、粗糖といった原料から、缶詰めなどの加工食品まで、食料自給率が低い日本において特に重要な役割を果たしています。三井物産や丸紅では食料資源への投資を強化する動きが見られ、人口増加による穀物需要の増加が叫ばれる中で示す存在感は大きいと言えます。

金融

銀行や損害保険、生命保険とは差別化を図る形で、総合商社特有の金融関連サービスを提供しています。為替や証券、先物取引などの資産運用、M&Aなどのアドバイザリー業務、リース事業、ベンチャーキャピタル投資などの金融事業があります。三井物産においては非鉄金属、農産物といったコモディティの先物取引が営業による先物のノウハウを活用する形で金融分野にて扱われています。

その他新事業

水資源需給バランスの悪化が叫ばれる昨今、新興国での民間企業だけでなく国をも巻き込んだ水インフラ事業が拡大しています。また、三井物産が病院経営に乗り出すなど特にライフケア事業では新たなビジネスを生み出す動きが見られます。このように総合商社は社会の要請に応え、次々と新たな事業を拡大しています。

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総合商社で働く

かつての総合商社といえば、総合職としてガタイの良い男性が日中夜問わず働き、女性は一般職としてサポート業務を行うイメージがありましたが、最近ではその限りではありません!日本企業に先駆けて社内改革を行い、働き方のダイバーシティを取り入れて女性も多く一線で活躍しています。
常識をも変えていく総合商社の取り組みを紹介します!

三菱商事の女性活躍推進

女性が活躍する組織を目指して、総合職採用の女性比率の向上や、女性管理職の登用、育児支援制度など、様々な施策を取り入れています。女性役員も就任しています。(2017年6月時点)
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三井物産の時差出勤制度と両立支援策の拡充

「働き方改革」を推進し、1日あたりの所定労働時間を満たせば標準勤務時間から前後90分ずらすことが可能な時差出勤制度を取り入れています。また、「ワークライフ・マネジメント」の考え方を応援し、一定条件下で保育費用や家事代行サービス、ベビーシッター代の補助制度を取り入れています。
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伊藤忠商事の朝方勤務

早朝勤務への割増賃金支給や朝食配布制度を2013年度に導入することにより、残業体質を改善。これにより、育児や介護などで時間制限のある社員の活躍につながり、生産性が向上しました。
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伊藤忠商事の女性採用

伊藤忠で働く女性たちが社会人ライフに語る様子を、「伊藤忠ライフ ホンネ女子会」と題して採用HPに掲載しています。女性を積極採用したいという企業の姿勢が伺えます。
伊藤忠ライフ ホンネ女子会

総合商社各社(順不同)の事業状況

各社の企業情報を「四季報2017」に基づいてまとめました。

三菱商事



・幅広く事業を展開し、その事業規模・収益性からまさに総合商社の代表格と言えます。2016年3月期には資源関連事業で巨額の減損を計上しましたが、今後は非資源分野を中心に事業を拡大する計画で、ローソン事業もその一つです。

三井物産



・資源・エネルギー分野で圧倒的な存在感を示す総合商社。インフラにも強みを持ちます。安永社長は2017年5月23日時点で、非資源分野を強化する一方、資源分野への投資を引き続き重視する姿勢を示しています。資源分野の業績は資源価格に依存するので経営方針は今後も注目す必要があると言えるでしょう。

住友商事



・金属、メディア・生活関連、輸送機・建機に強み。資源分野での損失が目立ちますが、非資源事業の好調により2017年11月6日の決算発表では6期ぶりの過去最高益を更新する見通しを示しました。

伊藤忠商事



・岡藤社長が就任後、2015年度に純利益で総合商社トップに躍り出た、最近最も勢いのある総合商社。繊維をはじめ、食料、機械など非資源分野が強みで、特に中国においての評価が高いです。

丸紅



・電力・インフラ、食料に強み。2017年4~9月期の決算では石炭・銅事業での収益が拡大しました。最近では電力需要の成長が見込まれるアジア新興国での電力事業への投資が目立っています。

双日



・自動車、航空に強み。2017年4~9月期決算では石炭金属部門、自動車部門での好調が見られました。旧日商岩井からの縁もありベトナム
との関係が強いのが特徴です。

豊田通商



・やはり、自動車関連事業の規模が大きいと言えます。宿毛湾でのクロマグロ養殖の他、最近ではバイオマス発電への積極的な投資が見られます。

今後の見通し

近年、総合商社の勢力図に変化が見られ、業界はますます熾烈な争いを見せています。各企業は自社の強みを生かした経営戦略によってビジネスの成長を図っており、市場の煽りを受け易い事業もあることから、特に社会の変化に応じて経営方針を変える必要性に迫られている業界であると言えます。住友商事は2018年秋に本社を中央区晴海から東京駅近くへ移す予定ですが、これに関して三井物産との統合が噂されるほか、相補的な関係にある企業の合併、統合の憶測は絶えません。現在の5大商社体制はいつまで続くのか、今後の動向に注目です。
(参考:東洋経済新報社 16.12/7 三菱商事vs 伊藤忠)

まとめ

いかがでしたか?これで総合商社について一通りお分かりいただけたと思います!
優秀な学生が集まるなかで狭き門を潜り抜けることは決して簡単なことではありませんが、これを機に企業研究、自己研究にさらに磨きをかけ自信を持って就活に臨めるよう、万全の準備で臨みましょう!

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